【〜迷信・怪〜調査同好会】偽シナ保管庫:紅の巨兵〜古き怪/オープニング〜

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和歌山県白崎、山中。
二つの足跡が解れた腐葉土を踏み進む。
「妙な風や。」
長年、潮風が撫ぜる山という特殊な環境でしか実りを持たない植物を生業としてきた彼らだが、この日の風は悪寒にも似た冷たさで満ちていた。
猪が現れたと聞きつけ猟銃を引っさげて山に入ったが、既に半日が過ぎようとしてるが彼の獣は一向に現れない。
「ん、なんや?この岩は…?」
苔と落ち葉に覆われた、ごつごつと肌触りの悪い膨らみ。
彼らは訝しげに首をかしげていた、こんな所に岩なんかあったか?
………!
突如、轟音と共に彼らの視界は紅一色に染め上げられる―否、それは横たえた山から起き上がった巨大な人影の腹。
「馬鹿な…。」
彼らは猟銃を構える暇も、死に恐怖する暇さえ与えられず。
刹那、山の如き巨兵に握り潰されていた。

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「また、厄介な『もの』が現れたようだな…。」
一同を寺院に招集した徹斎が、普段無い真剣な面持ちで口を開く。
「白崎の山に、『だいだら法師(ぼっち)』なる怪が現れたそうだ。」
古来よりの怪ゆえ、皆も一度はその名を耳にしたことがあるだろう。
だいだら法師は山ほどの巨体を持ち、満月の月夜に現れる。
「無論だが、今回の目的はその怪の調査、もしくは討伐だ…。」
―そんな巨兵とどう戦う?―
一途が文字通り悩ましい表情で俯いた。
「何、我々に出来ることをすれば良い…。後は銀誓のほうで正式任務でも作るだろう。」
徹斎が苦笑を浮かべながら、気だるい煙を吹いた。
「そう、後一つ。運命予報士によると、だいだら法師は山を降り、海に向かっているらしい。…目的までは定かではないがな。」
その進路には民家が多くあり、踏み潰されれば一溜りも無いだろう。
調査という主目的の了見上、むしろこちらのほうが伏線にはならないのかも知れない。
「激戦になるだろうが、被害が出ている以上、放置しておくわけにもいかん。もし良ければ、共に来てほしい…。」
どうか宜しく頼む、徹斎が深々と頭を垂れる。
海→水着。
俯いた影の中、徹斎がそう呟いたのを飛は聞き逃さなかった。
振り落とした金属バットが徹斎の頭を捕らえ、徹斎の顔面がそのまま床にめり込んだ。